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『地下鉄(メトロ)に乗って』

『地下鉄(メトロ)に乗って』をレンタルで観た。
主人公と父親の邂逅をめぐる物語。
タイムスリップで若き日の父親と交わり、知ることのなかった過去を共に体験する。

大沢たかお演ずる若き日の父親の出征時の姿が、先週床屋に行ってプリズナーカットになった僕と妙に似ているという噂があるので、興味のある方はご覧下さい。


さて、男性なら誰しもこの映画を観たあと、自分と自分の父親のことを思わずにはいられません…

僕の父は、風呂嫌いです。(突然ですが)
母が亡くなってひとり住まいをしている今、ひと月に何回風呂に入っているのかちょっと聞くのが恐ろしくなります。

以前、父の風呂嫌いのルーツらしき話を聞いたことがありました。

父は6人兄弟の末っ子でした。
小さい頃はおじいちゃんっ子で、よく連れられて出掛けていたそうです。
家は石油屋で、結構繁盛していたといいます。
店を築き上げたのがそのおじいちゃんで、父の父は二代目、遊び人の若旦那であったようです。
現場を離れたおじいちゃんは、かわいい末の孫をお供にお出かけしていたのでしょうか。
幼い父を連れて、おじいちゃんの出掛ける先はいつも温泉であったそうです。
当の父は、そんな子供時代から湯船でくつろぐのが好きなわけもなく、本当は大好きな釣りに行きたかったのだそうです。
そりゃあ、考えたら退屈でしょうね。
でも、おじいちゃんの連れて行ってくれるのはいつも温泉ばかり…

というわけで、父は以来温泉を目の敵に…、会社の出張で城之崎に行っても温泉に入らずに帰ってくるといった徹底ぶりです。
こうなると一種のトラウマですかね。

そして、そんな父は大きくなると、やっと好きな釣りを思う存分できるようになりました。
新婚旅行も釣りでした。
子供たちが生まれると、もちろんいっしょに釣りに出掛けました。
休みといえば、釣り!釣り!釣り!

ところで、僕は子供の頃、虫が好きでした。
小学校時代は、ファーブル昆虫記を読んで、虫博士を目指したり…
一度でいいから、図鑑やテレビで見るカブトムシを捕まえに行ってみたい!
旅行の時、電車で山の中を通り過ぎるとき、ここで降りたらあのカブトやクワガタのいるクヌギ林があるのだろうかと思ったことをよく憶えています。

でも、お父さんの連れて行ってくれるのは海ばかり…
釣りも嫌いじゃないから楽しかったんですけどね。
兄もよく遊んでくれたのですが、思えばその時の兄のマイブームにいつも乗っかっていたような…
母は、その頃から教会に通い始めていて、よく僕も連れて行かれたのを憶えています。
(けなげにお祈りなんかもしていたっけナァ…)

その後、中学・高校とすすむ間に、僕はカメラを手に入れました。
少し撮影技術を覚えると、接写が好きになりました。
中間リングを買って、野原で昆虫を撮りました。
ネイチャーフォト全般にも興味を持ち、野生動物の生態を撮った写真集なども眺めていました。

…大学で北海道にやってきた僕は、休みの日になると、妙な憂鬱に捕らわれるのが悩みでした。
いや、悩みというほども自覚はできなかったかも知れません。
それが僕の常だったからです。

大学の近くには、大きな森がありました。
自転車でよくそこに出掛けました。
林道では、たくさんの野鳥が鳴き、木漏れ日の中、カラスアゲハやミドリシジミが飛んでいます。
夏には、虫かごの中にミヤマクワガタをいれた小学生の姿がありました。
キタキツネにも会いました。

でも、その森を歩く時、いつも僕はどこかに息苦しいような思いをまとわりつかせていました。
その記憶をたどるだけで、その明るい日差しとともに罪に似た感覚が甦ります。

その感覚は、いつもストーカーのように僕に付きまとっていたような気もします。
旅行で電車に揺られている時、恋人(←昔の話ですよ!)と過ごす天気のいい休日、ビデオ屋で観たい映画を探す時…

この頃は、だいぶんこの「影男」におびやかされることも減ってきました。

すこしその姿がわかりかけてきたような気がします。

ダレカやナニカを恨むような気持ちもないではなくて、どちらかというと謎解きのような感じ。
動かないカメラをイジクッテルような…^^

きっと誰のせいでもないんだろうナ・・と思う。 (" Nobody's Fault ")


明日の定休日、子供たちとどこへ行こうか?






   『地下鉄(メトロ)に乗って』_e0023068_116095.jpg



         「櫻豆混人クン、バンザ~イ!」

              m(_ _)m ガセネタデシタ!
by sakura-blend | 2007-04-04 05:28 | よしなしごと
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