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蛸のゆりかご

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この写真がナニか?わかる方はなかなかいらっしゃらないでしょう。
これはアオイガイ(葵貝)というものです。
貝とはいってもアオイガイはタコの一種です。
タコとこの貝殻は結びつかないと思いますが、腕から貝殻の成分を分泌して自分の体を納める貝を作るのだそうです。
☆検索でアオイガイの生前の姿を見ることが出来ます。
その昔、図鑑でこのアオイガイのことを知り、ふしぎなタコもいるものだと心にとどめたのでした。

それから幾星霜、ひょんなことからこのアオイガイが近くの海に流れ着くことがあることを知りました。
その精巧に作られた自然の造形にあらためて魅せられ、いつか自分でも手にしてみたいと思うようになりました。


ところが今日、配達からもどると店にビーチコーミング(漂着物探索)ハマり中のTさんが来ていて、先月の初旬、例年にない多くのアオイガイが漂着していたらしいとの情報をくださった。
これは行かねばならぬと云うことになり、Tさんと我家のみんなで夜の海へと出発!(なぜに夜行く? いや、明日も仕事だし・・・早起きは苦手だし・・・ ^^;)

当然まっ暗けの浜辺を懐中電灯片手に彷徨う怪しい一団。
しかし、浜辺を照らすライトに浮かぶのはホッキ貝などふつうの貝殻ばかり。
やはりすでに漂着のピークは過ぎているらしく、敗色濃厚となってきた。
子供ももう帰りたいと言い出す。
それでもあきらめ切れず、場所を移して探索を続行、二手に別れて浜辺を歩き始めてすぐにTさんが声を挙げた。
駆けつけると、Tさんの懐中電灯の照らす砂の上には憧れ続けたあのアオイガイの姿が!
それもかなり大きい。
打ち上げられたばかりらしく、まだ水に濡れている。
欠けもなくひとめ見てわかる美品だ。
おぉ、やった!と歓喜に沸くわれら。
こうなるとやはり自分でも見つけたいという気持ちが出てくる。
ややしばらく近くを探すが見つけられず、時間も遅いのでもう帰ろうと戻りかけた砂浜の切れ目になにか埋まっているのが目に入る。
慌てて手を出しながらも、「慌てて壊してはいけない」と云うブレーキを心でかけながら、半ば埋もれた大振りの貝殻をそっと砂から引き抜く。
アオイガイにまちがいなかった。
中に砂が詰まっているためけっこう重たい。
「ペーパー・ノーチラス」と英語で呼ばれる由縁であるうすい紙細工のような感触と、その繊細な凹凸がなんともうれしかった。

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この貝殻は雌のアオイガイだけが作るそうで、この中で産卵して卵を守るものらしい。
いわば揺りかごだ。

タコの揺りかご、ずいぶんと素敵なデザインである。
by sakura-blend | 2010-11-06 03:43 | ビーチコーミング
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